2013年3月 文責山口英昌 事務局担当
(1)Vプログラムの背景となる活動計画
Vプログラムは、えらぶ年寄り組が、地域に提案している「口永良部島・活動計画(EP活動計画)案」を支えるための、一つの方策として位置づけています(下図)。
EP活動計画(案)は、島外からの人材や知恵による支援を受けながら、われわれ全島民が世代を越えて進める、自然を生かした島づくり計画です。
計画は、@自然の調査・保護(学術活動をふくめて)と、A自然の活用の2本柱からなります(下図)。目的は、国立公園に指定された口永良部島の自然をまもると同時に、その豊かな自然を暮らしに活用し*、島の活性化を図るところにあります。当面の目標は、雇用確保であり、若い人たちの来島者や定住者の増加です。
*注)島で暮らすこと自体が、知らず知らずに、自然の恵みを受けているわけで、「自然を活用」していることになっています。
(2)「島外ボランティア・プログラム(Vプログラム)」の趣旨と経過
えらぶ年寄り組は、2012年8月から活動を始めました。EP活動計画の主要な柱である「自然の調査・保護」の活動を担います。「自然の活用」については、すでに、区や未来創造協議会などが、担い実行しています。
えらぶ年寄り組の「自然の調査・保護」活動は、島民だけで推進するには無理があります。そこで、広く島外にボランティア人材を求め、支援を受けることで、島の人材不足を補い、「自然の調査・保護」活動を充実し、推進します。広く島外の皆さんに、「Vプログラム」への参加を、呼びかけます。
島外ボランティアの対象となるのは、地元鹿児島県で働き学ぶ青少年、壮年・老年の皆さん、全国の口永良部島に興味のある専門学校生や、大学生、高校生などの皆さんです。
(3)Vプログラムの内容
Vプログラムでは、島外ボランティアの皆さんには、EP活動計画(案)の主要な柱の一つである「自然の調査・保護」を、島内ボランティアとともに、担当してもらいます。
1)自然の調査・保護
「自然の調査・保護」活動には、@エラブオオコウモリの生態調査、Aウミガメの産卵環境保全、Bシカ食害による農業被害および生活被害の防止、ならびに生態系への影響緩和、Cスダジイ・原生林(2次林)など、草木・樹木の植生維持があります。
また、D宣伝・広報活動(マルバサツキの群生、タカツルラン、スダジイの2次原生林、棲みついたウミガメ、サンゴ礁と豊かな魚群など)、E島内での、学習会、講演会など学術活動の一部を担ってもらいます。
2)自然の活用
なお、EP活動計画の今ひとつの柱である「自然の活用」には、下記のような課題が考えられます。課題の多くは、地域の活性化を目指して活動を続ける若・青年世代や、未来創造協議会が、すでに、さまざまな施策を推進中です。
「自然の活用」の具体例としては、@エコツアー、ボランティアツアーの推進、A温泉施設の改善・活用、B大気汚染観測施設の誘致、C地熱発電所など、自然発電施設の誘致、D癒し施設の誘致(老人施設、虐待保護施設、メンタル施設、矯正施設など)、F温泉を利用した老人介護施設の建設・経営、G漁業振興、H旧島民、十条製紙との土地活用の協働、などが考えられます。
(4)Vプログラムへの参加の形態
島外ボランティアの参加には、いくつかの形が考えられ、皆さんが参加しやすいやり方を選んでもらえます。
1)「自然の調査・保護」活動に参加する。
すでに計画されている興味のあるプログラムを選んで参加してもらう。
2)活動の計画段階から参加して、「自然の調査・保護」活動を担ってもらう。
計画段階から長期に渡り、じっくり関わっていただき、より責任のある任務を担っていただきます。
3)来島しなくとも支援が可能な活動に参加する。
アイディア提供、技術・学術支援、申請・要請活動の助言、ネット運営支援
・・・・などのプログラムが考えられます。
(5)Vプログラムによる効果
島外ボランティアが、Vプログラムへ参画すれば、若人の発想や実行力により、年寄り組の活動充実が期待できます。また年寄り組による活動計画の推進加速にもつながります。
一方、島外ボランティアの立場からは、持てる能力を離島活性化のために使って社会貢献に寄与できます。また、教育実習のユニークなフィールドが得られます。実施計画段階から参画することで、プロジェクト推進の演習ともなり、インターンシップの一環としても位置づけることができます。また、「自然の調査・保護」活動の一端を担うことから、環境政策の演習としても好ましい効果を上げることが期待できます。
大沢夕志・大沢啓子ご夫妻、Yuko Takahashiさん、野元嗣由さん、後藤利幸さん、大久保政英の皆さま、ご厚意に感謝いたします。