島民は少ないのですが、老いも若きも元気です。
このページでは、島民がチャレンジしている活動や、島外で島を応援していただいている活動を紹介します。また、学者・研究者の皆さんが、口永良部島をフィールドにしての研究や教育活動をされていますが、それらもご紹介します。
口永良部島伝統芸能保存会 |
口永良部島の伝統行事である、棒踊りや「日の本踊り」を継承し、次の代に残そうとする活動です。
代表:久木山 栄一さん
口永良部島は、全島が屋久島国立公園に属しています。
気の毒なほど狭い砂浜ですが、アカウミガメが上陸し、夏には子亀が海に帰ります。絶滅危惧種のエラブオオコウモリが住みついてもいます。
ところが、近年野生のシカが異常に繁殖し、農産物の被害はもとより、山の斜面がシカ道で崩れたり、植生に影響が出ています。
写真:
新岳の西斜面では、マルバツツジが満開でした。
撮影2013年6月27日
<2015年以降の噴火で、現在は壊滅状態です>
えらぶ年寄り組 |
島民のボランティアによる、自然保護の活動に加えて、「えらぶ年寄り組」も自然保護・調査のボランティア活動に加わりました。
「えらぶ年寄り組」は、自然を調査し保護しようと活動しています。しかし、自然を保護するだけではなく、「自然を守る」と「自然を活用する」を車の両輪として、この島での暮らしが立つようにとのねらいです。
「えらぶ年寄り組」は、口永良部島の、生き物や環境、文化や歴史遺産を守り、それらを子々孫々に伝えたいと願い、また、暮らしに忙しい若い人たちを手伝いたいという想いをもつ年寄りボランティアです。
グループの名前は「えらぶ年寄り組」、正式には「子々孫々の口永良部島を夢見るえらぶ年寄り組」です。
活動の紹介です。
エラブオオコウモリ |
ウミガメを保護・監視 |
植生を守る活動 |
広島大学の水圏資源生物学研究室は、口永良部島の美浦漁港近くの海をフィールドに、魚の生態を研究している。40数年も続いている息の長い研究で、現在、研究室を率いるのは坂井陽一先生。
研究室のホームページによれば、「水の透明度が高く、水が温かく、リーフに定住する魚が無数に存在する口永良部島をフィールドにした、サンゴ礁魚類の”社会”、すなわち個体の生き方を詳しく探る研究」と説明されています。
写真は、M Okuboさんの撮影
坂井先生は、2013年5月末に来島され、
そのうちの、いくつかを選んで紹介します。
坂井先生が中心となった研究では、
1)魚の性転換は一方向しかみられないものと考えられていたが、
2)ヨダレカケは陸にあがって子育てまで行うこと。さらに、今、
また、
3)アマミスズメダイの行動圏と餌生物の探索方法
群れ(約80匹)は、
いずれも、毎年5月〜10月にかけて、毎日、
授業を一緒に聞かせてもらいました。自然の不思議、子孫をすこしでも多く残そうとする生き物のたくましさ、改めて口永良部島の海の豊かさを知りました。 児童・生徒は、口永良部島の海を誇りに思い、ますます海や魚が好きになったことでしょう。 坂井先生の紹介によると、1970年~2012年までの42年間で、70名の学生・院生が研究のために島に滞在したそうです。そのうち、44名が修士号を、6名が博士号の学位を授与されました。口永良部島から世界に向けて発信された広島大学の研究成果は、世界の海を守り、海からの恵みを利用するための貴重な基礎データです。 この数字を見て、改めてわれわれ島民にとっても、広島大学の学生と研究が、誇らしく思われます。島に溶け込んで暮らしつつ、研究に励む姿を見たり、卒業後の活躍を見聞きすると、彼らがかけがえのない存在であることを実感します。<Y>。 |
2008年には、海より陸の方が好きな魚、ヨダレカケの研究が、NHK総合テレビ「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」で紹介されました。
鹿児島大学の鹿児島大学多島圏研究センターは,奄美群島や南太平洋の島嶼域における自然や産業,文化に関する学際的な研究をおこなっており、奄美群島での学術調査を毎年実施している。2009年には、口永良部島で調査が行われた。
鹿児島国際大学の船越公威先生 や 国崎 敏廣 先生による、エラブオオコウモリの生態研究が、1980年代から続けられています。
舩越研究室ホームページでの、研究紹介を引用します。
Q 舩越公威先生の専門分野・研究概要について教えてください!
A 文系の大学にあって異色の研究を行っており、哺乳類(特にコウモリ類)を対象に野外調査と飼育実験をしています。野外で生態や行動を観察しながらデータを集めるとともに、飼育下では研究手法も学生と一緒に考えながら、個々の現象の評価と実証に努めています。
常識にとらわれることなく、自由な発想で研究する中で、新たな発見もあります。目下研究中のコウモリがこの写真のコテングコウモリです。
アカメガシワトラップ法で捕獲に成功しました。哺育期以外は、雌雄とも単独生活であることもわかりました。
埼玉県の大沢 夕志・啓子ご夫妻も、オオコウモリの研究を続けておられます。2010年には、口永良部島で、講演していただきました。
大沢さん撮影
大沢さんのHPは、「オオコウモリの世界へようこそ」です。
佐賀大学の辻田有紀先生は、種子島、屋久島、沖縄などに生育する絶滅危惧種IAのタカツルランを研究されています。タカツルランは、通常の植物のように光合成して栄養を作り出してはいません。立ち枯れるスダジイなどに棲みつく菌根菌が作り出す栄養を取り込んで成長します。自生する北限が口永良部島です。
スダジイがどんなに多くても、環境の悪い森では生育できません。口永良部島には、原始林に近いの照葉樹の森があり、スダジイが自然のままに保全されています。タカツルランは、いかに口永良部島の自然が豊かであるかを教えてくれます。
「えらぶ年寄り組」は「屋久島まるごと保全協会YOCA」の手塚賢至さんらとともに、口永良部島を担当し、採種、見回りなど辻田先生のお手伝いをしています。
タカツルランの研究成果は、辻田先生が日本菌学会の第58回大会でポスター発表されました。名誉なことに「えらぶ年寄り組」も名を連ねています。
口永良部島の活火山、新岳をターゲットにした監視・観測が京都大学によって続けられています。
教員や学生・院生が常駐した観測ではありません。地震計やGPS、テレビカメラ、人工衛星など最先端の観測機器を利用し、インターネットを介してデータを収集しての監視・研究であるところに、現代を感じます。
われわれ島民が目にする機会はありませんが、口永良部島にかかわる数多くの研究が、京大・防災研究所から報告されています。
慶應義塾大学の長谷部葉子先生が2011年に始められたプロジェクトです。
長谷部先生は湘南藤沢キャンパス(SFC)の総合政策学部に所属されています。
長谷部葉子研究室のホームページによれば、離島活性化恊働プロジェクトとは「離島である口永良部島の魅力を活かした”教育の機会”と、”新しい交流場所”の提供による離島活性化を目的とした活動」とあります。
「学校がなくなる」ことになれば「島に住めなくなる」・・・・との観点から、教育を切り口として長期的・自立的な過疎離島の活性化を考えようとする試みです。
口永良部島プロジェクト
長谷部 葉子先生の新刊
「今、ここを真剣にいきていますか?―やりたいことを見つけたいあなたへ」講談社(2012年12月)が刊行されました。若者に向けた、想いを込めたメッセージが熱く語られています。
この本では、口永良部島がここかしこに登場します。
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講談社から、2012年12月に刊行されました。
エラブオオコウモリは、絶滅危惧種であり国指定の天然記念物です。
「えらぶ年寄り組」が、2012年10月から、頭数やペリットの調査・観察を始めました。観察の記録です。