漁師になりたいと考えている若人へ |
下記の文章は平成5年(1993年)に、移住者(Iターン島民)である貴舩 庄二氏によって書かれた「島民募集」の文章です。「生命の島(廃刊)」に連載された「火山島に棲む」の一部です。氏の友人が、ネット上にアップされ、そこからコピーさせてもらいました。
20年前の書かれた文章なのですが、訴えは、今なお新鮮であり「火山島に棲む」に心動かされて、移住したり、留学生となる方々が絶えません。
<事務局注>文章は、平成5年(1993年)当時のままであることをご理解下さい。
■■■■■ 島 民 募 集 ■■■■■
文・イラスト / 貴舩庄二
この孤立した島の可能性を認識し 島を害わず 海を前に 活きた火山を背に 風に全身を曝し 胸に誇りを持って生きていける 貴方! |
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私 たち口永良部島は屋久島上屋久町の一地区となっていますが、屋久島の西方約12kmに位置する、周囲45km、活火山を有した孤島です。 島 は瓢箪型をしており、括れた部分に最も大きな集落本村を形成し、南に面した大きな湾に港を有し、町営船第2太陽丸(2百トン)が一日一便屋久島間を就航しています。瓢箪の大きな部分のやや南よりに活火山新岳を有し、周りは主に椎、松などの雑木で蔽われ、海辺は断崖となって美しい景観を見せています。 さ て私たち口永良部島は児童生徒の確保を図ろうと、教育振興推進協議会を設け、家族移転、孫もどし、山海留学等の業務推進と、それに伴う住居・宅地農地・仕事の確保や広報に努力をしていますが、空家は近年続く台風により破損し、補修して入居できる家屋は数えるほどしかありません。また宅地農地の取得は、島では所有名義の変更が等閑にされており困難を伴いますが、気長く交渉すれば可能であると思います。仕事は差し当たって公共事業等による人夫・作業員の職はありますが、農林漁業及び牧畜等の仕事は、数年の定住を経て島の特性を把握した時点で可能だと思います。医療に関しては、医師は屋久島・鹿児島より定期診療として島の診療所を訪れますが、看護婦は1名常駐しています。緊急時にはヘリポートが整備されており、救急患者は直接鹿児島の病院へ移送されます。 島 民募集などと大見栄をきって呼びかけてはいますが、正直なところ定住者の受け入れ体制はあまり整備されていないのが実情です。しかし一度この島を訪ねて戴き、貴方の目でしっかりと見て欲しいのです。口永良部島は上屋久町の各地区とは異なり海を隔てており、町行政の恩恵は後れがちであり、離島ゆえの不便さと無医地区の不安、火山や台風などの災害の恐れを抱えていますが、豊富な温泉や魚貝、美しい自然林と豊かな土壌の農地を有しています。 今 私たち口永良部島が最も必要とするのは、この孤立した島の可能性を認識し、島を害わず、海を前に、活きた火山を背に、風に全身を曝し、胸に誇りを持って生きていける貴方です。 現 在世界は自然と文明のアンバランスに呻吟しています。 鹿児島県熊毛郡上屋久町口永良部島 太陽丸から望む口永良部島
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大沢夕志・大沢啓子ご夫妻、Yuko Takahashiさん、野元嗣由さん、後藤利幸さん、大久保政英の皆さま、ご厚意に感謝いたします。